「金利が上がれば、株価は下がる傾向がある」
父は、よくそう言っていました。
私が大学に入ったのは1985年。父は証券会社の経済研究所で働いていました。
毎晩、経済ニュースを見ながら日経新聞を読み、気になった記事を切り抜いていました。自分が注目している株については、方眼紙に万年筆でチャートまで書いていました。
40年近くたった今でも、その新聞の切り抜きが残っています。
父から記事の切り抜きをもらい、自分の大学の「経済学」の教科書と読み比べたりもしました。
「40年前の問いを、2026年の問いとしてもう一度考える。」
今回は、その中の一つを思い出してみます。

金利が上がると、なぜ株価は下がるのか
父と経済の話をすると、金利の話がよく出てきました。
金利が上がれば、企業にとってお金を借りるコストが高くなります。また、預金や債券などの利回りが上がれば、株式以外の資産にも資金が向かいやすくなります。
だから、
「金利が上がれば、株価は下がる傾向がある」
というわけです。
もちろん、実際の株価はそんなに単純ではありません。
景気、企業業績、為替、物価、海外情勢など、さまざまな要因が絡みます。
父がこの話をしていた1980年代後半、日本はバブル経済の真っただ中でした。
そして1987年にはブラックマンデーが起こり、その後も日本の株価は上昇を続けました。
1989年末、日経平均株価は38,915円という当時の史上最高値をつけます。
その後、日銀は金融引き締めを進め、金利は上昇。
1990年には株価が大きく下落しました。
父は当時の日銀の金融政策について、かなり厳しく批判していました。
「バブルはもう消えたのに、さらに利上げした」
そう言っていたのを覚えています。
【父が残していた日経新聞の切り抜きの写真】

40年前の話は、2026年にも続いている
40年前、父と話していた「金利と株価」の問題は、今もなくなったわけではありません。
2026年の現在も、アメリカや日本の中央銀行の金利政策は、株価や為替、債券価格、そして私たちの暮らしに影響を与えています。
ただ、今は40年前とは情報の伝わり方も違います。何しろ当時はまだインターネットはありませんでした。
中央銀行のトップが世界に向けて発言し、市場はその言葉を瞬時に分析します。
利上げするのか、利下げするのか。
それだけではありません。
市場は、すでに何を予想しているのか。
そこまで考えなければ、金利と株価の関係を理解することはできません。
だから私は今でも、経済ニュースを見るとき、
「金利が上がるから株価が下がる」
と単純に考えるのではなく、
「いま経済はどこにいるのだろう」
と考えるようにしています。
父との対話から学んだのは、経済の答えだけではありません。
数字やニュースの向こう側にある「なぜ」を考えることでした。
そして、投資についても同じだと思っています。
誰かが「こうしたほうがいい」と言ったから、そのまま従う。
それではなく、
「自分は何のためにお金を使い、何のために投資するのか」
を考える。
それが、私が現在FPとして大切にしていることにつながっています。
40年前の父との経済対話を、2026年の今、もう一度考えてみる。
そんな小さな試みを、これからも続けていきたいと思います。


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